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■野口レポート

No.176 大震災と相続を考える (平成23年5月)

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あるとき森が燃えていました 森の生きものたちはわれ先に逃げていきました でもクリキンディという名のハチドリだけはいったりきたり 口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは火の上に落としていきます 動物たちがそれを見て「そんなことをしていったい何になるんだ」といって笑います 
クリキンディはこう答えました 「私は私にできることをしているの」。 南アフリカの先住民に伝わる物語です 出典:「ハチドリのひとしずく」光文社。
東日本大震災で行方不明者や命を落とされた人は2万人を超えます。被災された皆様は避難所などで、不自由な生活を強いられており、今はその日を暮らすことで精いっぱいです。
いずれ衣食住が一段落したら、据え置いていた多くの問題への対応にせまられます。相続もそのひとつです。普段ではありえないレアなケースを含め、膨大な数の相続手続きが必要となります。

《遺体が確認できた人》
◎父(母)が亡くなった→子が相続人です。
◎子が亡くなった(逆相続)→ 父母または祖父母が相続人です。 ◎父母・祖父母も亡くなった→ 兄弟姉妹が相続人です。
◎祖父母より先に父(母)が亡くなった→ 子(孫)が父(母)の地位を代襲し相続人です。
◎配偶者は常に相続人です。

《遺体が発見されない人》
①認定死亡→ 死亡が確実であるが遺体が見つからない。取り調べ官公署が報告し死亡が証明されます。 
②失踪宣告(特別失踪)→ 危難が去ってから1年間行方不明。家庭裁判所の失踪宣告で、上記にさかのぼり死亡(擬制)したことになります。
③不在者財産管理人→ 遺産分割は相続人全員の合意が必要です。行方不明者に代わり上記管理人が遺産分割に加わります。

《同時死亡の推定》
親と子や夫と妻など相続関係にある人が同時に亡くなった時はお互いに相続は生じません。

《相続人不存在》
一家が死亡し相続人は誰もいない。遺産の行方は……、債権者→ 特別縁故者→ 最後は国庫に入ります。

《借金・連帯保証人》
財産が滅失しても借金は滅失してくれません。借金や連帯保証人の地位は、相続人が法定相続分で当然に相続します。大震災がなければ順調であった、漁業関係や中小零細企業も倒産すれば、保証債務が一気に顕在化します。

《銀行実務》
遺言での指定が無ければ、預貯金は相続人が法律上法定相続分で当然に相続します。ところが銀行は預金を凍結し、相続人全員の承諾を求めてきます。行方不明者がいたら預金は引き出せません。銀行に対し法定相続分に応じた払い戻し請求を訴え出れば裁判所は法律通りの判決を出してくれます。

東北産のお酒を飲むこと。拙いレポートですが全国の読者様に毎月欠かさず届けること。「私は私にできることをしているの」ハチドリのひとしずくですが、今の私にできることです。

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