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■野口レポート

No.150 むかえびと (平成21年3月)

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ある小学生の母親が学校に文句を言いました。「お金(給食費)を払っているのだから、うちの子に“ごちそうさま”と言わせないでください。」ここまできたか、この話を聞いて啞然としました。
生き物は生き物を食べて生かされています。つまり、命を頂戴しているのです。「ごちそうさま」は感謝の言葉です。
映画「おくりびと」が話題になっています。山崎務さん演じる納棺師の社長の言葉が印象的でした。白子をつまみ上げ、「これだってご遺体だ、人は生き物を食わなきゃ生きていけねぇんだ。」
主役の本木雅弘さんが見事に納棺師を演じています。納棺師とは、遺体を清め、化粧をほどこし、着替えさせ、棺に納める専門職です。
表情を殺した顔とは相反し、その仕草は、死者に対しての尊厳と人としての優しさに満ちております。この映画を観て、納棺師とは崇高な職業だと思いました。
島根県隠岐の知夫里島、特別養護老人ホームも、大きな病院もありません。この日本海に浮かぶ小さな離島で、一人暮らしのお年寄りが息を引き取るまで過ごせる、看取りの家「NPO法人:なごみの里」を開設し、一隅を照らすような生き方をされている、理事長の柴田久美子さんがいます。柴田さんは著書「命のバトンを受け取るために」のなかで次のように語っています。


「人間は両親から“身体、良い心、魂”を頂いて生まれてくる。そして、この世を旅立つ時、身体は朽ち、良い心と魂は縁ある人に“生きる力”として渡されていく。これが“命のバトン”であり、その受け渡しこそが人としての最大の使命と、幸齢者様は死をもって私に教えて下さる。」
柴田さんはこの大切な命の秘密を一人でも多くの方にお伝えしたいという思いを、この冊子に託されています。
まさに「みとりびと」です。以前一度お会いし、お話させていただく機会がありました。笑顔が素敵な天使のような女性です。
みとられ、おくられる。その先には、必ず相続が待っています。被相続人をおくったあと、相続人をむかえ、相続手続きのサポートをしていくのが、相続コーディネーターの仕事です。
ある案件で、土地換金が不可能になり、相続税が滞納となってしまいました。高利貸しのような延滞税と時間との戦いです。知恵と気力を振り絞り、何とか一括納付ができました。まるで綱渡りのような2か月でした。ストレスで胃が痛くなりました。
相続はアドバイスや方向を誤ると、相続人の人生すら変えてしまう責任の重い仕事です。また、単にビジネスだけでなく、相続人の幸せを守って差し上げる崇高な仕事です。
これからも相続人様の「むかえびと」として、精進を怠らず誇りを持って、日々の実務に取り組んでまいりたいと思います。

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