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■野口レポート

No.200 相続対策の目的は相続人の幸せ (平成25年5月)

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相続対策には、争いの予防や財産を分けやすくしておく「遺産分割対策」、納税資金捻出の準備をしておく「相続税納税対策」、どう分けてどう納めるか、この二つは優先すべき最も重要な対策です。そして一番最後が相続税を減らす「相続税節税対策」です。
単に節税ありきではなく、「分割と納税」この二つの対策の結果として節税効果も生じる。これが理想の相続対策です。
相続税を減らそうと、安易に借金し賃貸マンションを建てる節税対策を優先したがために、相続税が払えなくなってしまう。これでは本末転倒で相続対策の意味がありません。更地の駐車場にしておけば、売却し相続税は十分払えたはずです。
いまだに借金すれば相続税が減ると誤解している人がいます。借金しても相続税は減りません。借金で得た現金を相続税評価額の低い固定資産(賃貸建物は建築費の半分以下)に換えるところに相続税を減らす節税効果が生じるのです。
バブルの時代には相続対策の名のもとに、借金コンクリートの賃貸マンションがさかんに建てられました。「相続対策になりますよ」と、営業マン。「いくらでもお貸ししますよ」と、銀行マン。「このままでは土地を失いますよ」と、ひも付き税理士。


そしてバブル崩壊。デフレする(価値が下がる)不動産、デフレしない(価値が下がらない)借金。後に残ったのは資産価値が激減した不動産と膨大な借金。貸し込んだ銀行は手のひらを返すように態度が変わり、資産家が債務超過の悲惨家へ。
いったい「あの営業マン、あの銀行マン、あの先生は何だったんだ!」だが、この人達を恨んではいけません。最後に決めたのは自分です。これが自己責任というものです。
相続対策の目的は、相続後の「相続人の幸せ」です。建物建築は手段であり目的ではありません。目的を実現したいなら、その手段が間違いないのか、ここを見極めることが肝要です。
得ることは捨てることだと心得てくさい。相続税は減らしたい。土地(財産)は減らしたくない。人の欲は大きな落とし穴になります。今回の相続税制改正をチャンスとばかり、相続税対策と称し己の利益を優先しようとする輩も出てきます。
ご先祖様や親そして自分が汗して築いてきた財産は次代に承継させるべき大切な財産です。しかし、その財産に振り回されてしまったら意味がありません。一番大切なことは財産を受け継ぐべき相続人の人生そのものです。
たとえ相続税を取られても残った財産に感謝して、自分の人生観や価値観に基づいて心にゆとりある人生を楽しんでいく。その相(すがた)を次の代に伝えていく。こうした考え方こそが本来の正しい相続の姿ではないかと思う次第です。

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